2026年10月1日(木)看護師クイズ 回答
| 概要 | 78歳、男性。心不全増悪のため入院しました。 入院時、血圧102/64mmHg、心拍数96回/分、SpO₂ 94%(室内気)でした。呼吸困難の訴えは軽度で、聴診上、両側肺野に明らかなcracklesは認めませんでした。一方、頸静脈怒張と両側下腿浮腫を認めています。四肢は温かく、意識は清明で、尿量も保たれています。 この患者の現在の循環動態を、フィジカルアセスメントから最も適切に評価しているのはどれでしょうか? A.肺うっ血が主体であり、左心系のうっ血が強い状態 B.体静脈系のうっ血が主体であるが、末梢循環は比較的保たれている状態 C.心拍出量が著しく低下し、末梢循環不全をきたしている状態 D.うっ血所見は乏しく、循環血液量減少が主体の状態 |
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| 回答 |
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| 解説 | 【解説】 この症例で重要なのは、「心不全だから肺うっ血」と単純に考えるのではなく、身体所見から「うっ血があるのか」と「末梢循環が保たれているのか」を分けて評価することです。 まず、頸静脈怒張と両側下腿浮腫を認めています。頸静脈圧は右房圧を推定するための重要な身体所見であり、頸静脈怒張は右房圧の上昇、つまり体静脈系のうっ血を示唆します。さらに両側下腿浮腫も認めていることから、この患者には全身性の静脈うっ血が存在している可能性が高いと考えます。 一方で、四肢は温かく、意識は清明で、尿量も保たれています。心拍出量が著しく低下して末梢循環不全をきたすと、四肢冷感、意識状態の悪化、尿量低下などの臓器低灌流を示唆する所見が出現します。この患者ではそのような所見が目立たないため、末梢組織への灌流は比較的保たれていると判断できます。 また、肺野に明らかなcracklesを認めない点にも注目が必要です。心不全患者では肺うっ血と体静脈うっ血が必ず同じ程度に出現するわけではありません。そのため、「cracklesがない=うっ血がない」と判断するのではなく、頸静脈、浮腫、呼吸音、末梢冷感、意識、尿量など複数の身体所見を組み合わせて循環動態を評価することが重要です。 この症例をNohria-Stevensonの臨床プロファイルで考えると、うっ血を認める「wet」でありながら、明らかな低灌流所見に乏しい「warm」に近い状態、つまり「warm-wet」の臨床像と考えることができます。 フィジカルアセスメントでは、一つの所見だけで病態を決めるのではなく、「この所見は前負荷・うっ血を見ているのか」「それとも心拍出量・末梢灌流を見ているのか」と整理することが大切です。 頸静脈怒張=右房圧・静脈うっ血、下腿浮腫=体静脈うっ血、四肢の温度=末梢灌流、意識・尿量=臓器灌流、肺音=肺うっ血というように、それぞれの身体所見が何を反映しているのかを理解すると、ベッドサイドで循環動態をより立体的に捉えることができます。 |
| 概要 | 78歳、男性。心不全増悪のため入院しました。 入院時、血圧102/64mmHg、心拍数96回/分、SpO₂ 94%(室内気)でした。呼吸困難の訴えは軽度で、聴診上、両側肺野に明らかなcracklesは認めませんでした。一方、頸静脈怒張と両側下腿浮腫を認めています。四肢は温かく、意識は清明で、尿量も保たれています。 この患者の現在の循環動態を、フィジカルアセスメントから最も適切に評価しているのはどれでしょうか? A.肺うっ血が主体であり、左心系のうっ血が強い状態 B.体静脈系のうっ血が主体であるが、末梢循環は比較的保たれている状態 C.心拍出量が著しく低下し、末梢循環不全をきたしている状態 D.うっ血所見は乏しく、循環血液量減少が主体の状態 |
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| 解説 | 【解説】 この症例で重要なのは、「心不全だから肺うっ血」と単純に考えるのではなく、身体所見から「うっ血があるのか」と「末梢循環が保たれているのか」を分けて評価することです。 まず、頸静脈怒張と両側下腿浮腫を認めています。頸静脈圧は右房圧を推定するための重要な身体所見であり、頸静脈怒張は右房圧の上昇、つまり体静脈系のうっ血を示唆します。さらに両側下腿浮腫も認めていることから、この患者には全身性の静脈うっ血が存在している可能性が高いと考えます。 一方で、四肢は温かく、意識は清明で、尿量も保たれています。心拍出量が著しく低下して末梢循環不全をきたすと、四肢冷感、意識状態の悪化、尿量低下などの臓器低灌流を示唆する所見が出現します。この患者ではそのような所見が目立たないため、末梢組織への灌流は比較的保たれていると判断できます。 また、肺野に明らかなcracklesを認めない点にも注目が必要です。心不全患者では肺うっ血と体静脈うっ血が必ず同じ程度に出現するわけではありません。そのため、「cracklesがない=うっ血がない」と判断するのではなく、頸静脈、浮腫、呼吸音、末梢冷感、意識、尿量など複数の身体所見を組み合わせて循環動態を評価することが重要です。 この症例をNohria-Stevensonの臨床プロファイルで考えると、うっ血を認める「wet」でありながら、明らかな低灌流所見に乏しい「warm」に近い状態、つまり「warm-wet」の臨床像と考えることができます。 フィジカルアセスメントでは、一つの所見だけで病態を決めるのではなく、「この所見は前負荷・うっ血を見ているのか」「それとも心拍出量・末梢灌流を見ているのか」と整理することが大切です。 頸静脈怒張=右房圧・静脈うっ血、下腿浮腫=体静脈うっ血、四肢の温度=末梢灌流、意識・尿量=臓器灌流、肺音=肺うっ血というように、それぞれの身体所見が何を反映しているのかを理解すると、ベッドサイドで循環動態をより立体的に捉えることができます。 |