2026年2月20日(金)看護師クイズ 回答

概要 急性心筋梗塞(AMI)で「ニトログリセリン投与が禁忌」となるのはどのケース?





A.前壁梗塞で血圧150/90 mmHg
B.下壁梗塞で徐脈(HR45)
C.右室梗塞を合併している場合
D.発症2時間以内




回答

C.右室梗塞を合併している場合

解説

ニトログリセリン(ニトロ)は主に「静脈拡張」により前負荷(静脈還流)を低下させ、血圧を下げる方向に働きます。したがって投与判断の軸は「心拍数」そのものではなく、“前負荷低下に耐えられる循環動態かどうか”です。

■なぜC(右室梗塞)は禁忌?
右室梗塞では右室が前負荷依存になりやすく、ニトロで静脈還流が減ると、
右室充満↓ → 左室充満↓ → 心拍出量↓ → 急激な血圧低下(ショック)
を来し得ます。AHA/ACCのSTEMIガイドラインでは、ニトロは「右室梗塞」「低血圧」「著明な徐脈/頻脈」「PDE5阻害薬使用」などでは投与しない(回避)とされています。

■なぜB(下壁梗塞+徐脈)は不正解?
下壁梗塞では右冠動脈領域(洞結節/房室結節)虚血や迷走神経反射で徐脈が起こりやすい一方、徐脈“だけ”はニトロの絶対禁忌ではありません。
禁忌として重要なのは「低血圧」や「著明な徐脈/頻脈を伴う循環不安定」です(例:SBP<90mmHg、またはベースラインから30mmHg以上の低下、HR<50など)。日本循環器学会(JCS)のAMIガイドラインでも、硝酸薬は低血圧や重度徐脈/頻脈では投与しない(Harm)と整理されています。
つまりBは「状況次第で慎重投与の余地がある」ため、この設問での“禁忌”としてはCが最適です。

■補足
右室梗塞に対するニトロ禁忌は多くのガイドラインで採用されていますが、系統的レビューでは「禁忌を強く支持する直接エビデンスは限定的で、確実性は低い」との指摘もあります。ただし安全性の観点から、臨床現場では「右室梗塞が疑われる場合は回避」が基本戦略として維持されています。

【まとめ】

ニトロは「心拍数で判断する薬」ではなく、「前負荷依存かどうか(血圧・循環動態)」で判断する薬です。
右室梗塞(疑い含む)では前負荷低下で急激な低血圧を招き得るため原則禁忌です。

【参考文献(エビデンス)】

  1. 2013 ACCF/AHA Guideline for the Management of ST-Elevation Myocardial Infarction(硝酸薬の回避条件:低血圧、著明な徐脈/頻脈、右室梗塞、PDE5阻害薬など)

  2. JCS 2018 Guideline on Diagnosis and Treatment of Acute Coronary Syndrome(低血圧、重度徐脈/頻脈などで硝酸薬はHarmとして整理)

  3. Wilkinson-Stokes M, et al. 2023(右室梗塞×硝酸薬禁忌の根拠の確実性が低い可能性を示す系統的レビュー)

引用セミナー:ACSセミナー

概要 急性心筋梗塞(AMI)で「ニトログリセリン投与が禁忌」となるのはどのケース?





A.前壁梗塞で血圧150/90 mmHg
B.下壁梗塞で徐脈(HR45)
C.右室梗塞を合併している場合
D.発症2時間以内




回答

C.右室梗塞を合併している場合

解説

ニトログリセリン(ニトロ)は主に「静脈拡張」により前負荷(静脈還流)を低下させ、血圧を下げる方向に働きます。したがって投与判断の軸は「心拍数」そのものではなく、“前負荷低下に耐えられる循環動態かどうか”です。

■なぜC(右室梗塞)は禁忌?
右室梗塞では右室が前負荷依存になりやすく、ニトロで静脈還流が減ると、
右室充満↓ → 左室充満↓ → 心拍出量↓ → 急激な血圧低下(ショック)
を来し得ます。AHA/ACCのSTEMIガイドラインでは、ニトロは「右室梗塞」「低血圧」「著明な徐脈/頻脈」「PDE5阻害薬使用」などでは投与しない(回避)とされています。

■なぜB(下壁梗塞+徐脈)は不正解?
下壁梗塞では右冠動脈領域(洞結節/房室結節)虚血や迷走神経反射で徐脈が起こりやすい一方、徐脈“だけ”はニトロの絶対禁忌ではありません。
禁忌として重要なのは「低血圧」や「著明な徐脈/頻脈を伴う循環不安定」です(例:SBP<90mmHg、またはベースラインから30mmHg以上の低下、HR<50など)。日本循環器学会(JCS)のAMIガイドラインでも、硝酸薬は低血圧や重度徐脈/頻脈では投与しない(Harm)と整理されています。
つまりBは「状況次第で慎重投与の余地がある」ため、この設問での“禁忌”としてはCが最適です。

■補足
右室梗塞に対するニトロ禁忌は多くのガイドラインで採用されていますが、系統的レビューでは「禁忌を強く支持する直接エビデンスは限定的で、確実性は低い」との指摘もあります。ただし安全性の観点から、臨床現場では「右室梗塞が疑われる場合は回避」が基本戦略として維持されています。

【まとめ】

ニトロは「心拍数で判断する薬」ではなく、「前負荷依存かどうか(血圧・循環動態)」で判断する薬です。
右室梗塞(疑い含む)では前負荷低下で急激な低血圧を招き得るため原則禁忌です。

【参考文献(エビデンス)】

  1. 2013 ACCF/AHA Guideline for the Management of ST-Elevation Myocardial Infarction(硝酸薬の回避条件:低血圧、著明な徐脈/頻脈、右室梗塞、PDE5阻害薬など)

  2. JCS 2018 Guideline on Diagnosis and Treatment of Acute Coronary Syndrome(低血圧、重度徐脈/頻脈などで硝酸薬はHarmとして整理)

  3. Wilkinson-Stokes M, et al. 2023(右室梗塞×硝酸薬禁忌の根拠の確実性が低い可能性を示す系統的レビュー)

引用セミナー:ACSセミナー