2026年5月12日(火)看護師クイズ 回答

概要 胸痛で来院した患者。
心電図ではⅡ・Ⅲ・aVF誘導でST上昇を認めた。
しかし、Ⅲ誘導よりⅡ誘導のST上昇が強く、PR低下も認める。
最も考えられる疾患はどれ?






A. 下壁STEMI
B. 急性心膜炎
C. 高カリウム血症
D. Brugada症候群
回答

B. 急性心膜炎

解説

急性心膜炎でもST上昇を認めるため、
「ST上昇=AMI」と決めつけることは危険である。

急性心膜炎では、心外膜側を中心とした炎症により、多くの誘導でびまん性のST上昇を認めることが特徴である。

急性心膜炎の心電図所見

・広範囲(びまん性)のST上昇
・ST上昇は凹型(concave型)になりやすい
・PR低下を認めることが多い
・鏡面変化(reciprocal change)が少ない
・Ⅱ誘導のST上昇がⅢ誘導より強いことが多い

特にPR低下は、心膜炎を疑う重要な所見である。

下壁STEMIの心電図所見

・Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導で局在性ST上昇
・Ⅲ誘導のST上昇がⅡ誘導より強い
・aVL誘導でST低下(鏡面変化)を認めることが多い
・ST上昇は凸型(convex型)になりやすい
・PR低下は通常みられない

特に「Ⅲ>Ⅱ」のST上昇は右冠動脈閉塞による下壁梗塞を強く示唆する。

なぜ違いが起こるのか?

急性心膜炎では、冠動脈閉塞ではなく、心膜・心外膜側の炎症によって電位変化が起こるため、多くの誘導でST上昇を認める。

一方、STEMIでは冠動脈閉塞による局所虚血・壊死が原因であり、障害部位に一致した局在性ST上昇と、対側誘導での鏡面変化を認める。

臨床で重要なポイント

・ST上昇だけでAMIと決めつけない
・PR低下の有無を確認する
・Ⅱ誘導とⅢ誘導のST上昇の強さを比較する
・aVL誘導の鏡面変化を確認する
・胸痛の性状(体位で変化するか)も重要
・心電図単独ではなく、症状・採血・心エコーを含め総合的に評価する

代表的な鑑別ポイントまとめ

【急性心膜炎】
・びまん性ST上昇
・Ⅱ>Ⅲ
・PR低下あり
・鏡面変化少ない
・concave型ST上昇

【下壁STEMI】
・局在性ST上昇
・Ⅲ>Ⅱ
・PR低下なし
・aVLで鏡面変化あり
・convex型ST上昇

参考文献・ガイドライン

・European Society of Cardiology (ESC) Guidelines for Pericardial Diseases
・AHA/ACC Guideline for STEMI
・Wang K, et al. ECG manifestations of acute pericarditis
・Brady WJ ECG review
・Life in the Fast Lane ECG Library

概要 胸痛で来院した患者。
心電図ではⅡ・Ⅲ・aVF誘導でST上昇を認めた。
しかし、Ⅲ誘導よりⅡ誘導のST上昇が強く、PR低下も認める。
最も考えられる疾患はどれ?






A. 下壁STEMI
B. 急性心膜炎
C. 高カリウム血症
D. Brugada症候群
回答

B. 急性心膜炎

解説

急性心膜炎でもST上昇を認めるため、
「ST上昇=AMI」と決めつけることは危険である。

急性心膜炎では、心外膜側を中心とした炎症により、多くの誘導でびまん性のST上昇を認めることが特徴である。

急性心膜炎の心電図所見

・広範囲(びまん性)のST上昇
・ST上昇は凹型(concave型)になりやすい
・PR低下を認めることが多い
・鏡面変化(reciprocal change)が少ない
・Ⅱ誘導のST上昇がⅢ誘導より強いことが多い

特にPR低下は、心膜炎を疑う重要な所見である。

下壁STEMIの心電図所見

・Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導で局在性ST上昇
・Ⅲ誘導のST上昇がⅡ誘導より強い
・aVL誘導でST低下(鏡面変化)を認めることが多い
・ST上昇は凸型(convex型)になりやすい
・PR低下は通常みられない

特に「Ⅲ>Ⅱ」のST上昇は右冠動脈閉塞による下壁梗塞を強く示唆する。

なぜ違いが起こるのか?

急性心膜炎では、冠動脈閉塞ではなく、心膜・心外膜側の炎症によって電位変化が起こるため、多くの誘導でST上昇を認める。

一方、STEMIでは冠動脈閉塞による局所虚血・壊死が原因であり、障害部位に一致した局在性ST上昇と、対側誘導での鏡面変化を認める。

臨床で重要なポイント

・ST上昇だけでAMIと決めつけない
・PR低下の有無を確認する
・Ⅱ誘導とⅢ誘導のST上昇の強さを比較する
・aVL誘導の鏡面変化を確認する
・胸痛の性状(体位で変化するか)も重要
・心電図単独ではなく、症状・採血・心エコーを含め総合的に評価する

代表的な鑑別ポイントまとめ

【急性心膜炎】
・びまん性ST上昇
・Ⅱ>Ⅲ
・PR低下あり
・鏡面変化少ない
・concave型ST上昇

【下壁STEMI】
・局在性ST上昇
・Ⅲ>Ⅱ
・PR低下なし
・aVLで鏡面変化あり
・convex型ST上昇

参考文献・ガイドライン

・European Society of Cardiology (ESC) Guidelines for Pericardial Diseases
・AHA/ACC Guideline for STEMI
・Wang K, et al. ECG manifestations of acute pericarditis
・Brady WJ ECG review
・Life in the Fast Lane ECG Library