2026年8月5日(水)看護師クイズ 回答
| 概要 | 70歳男性。急な呼吸困難で救急搬送されました。 SpO₂:84%(室内気) 血圧:190/110 mmHg 心拍数:110回/分 両側肺に湿性ラ音を聴取 下腿浮腫あり この患者への最初の対応として最も適切なのはどれでしょうか? A. 大量輸液を開始する B. 高流量酸素投与(必要時NPPV)を開始する C. β遮断薬を追加投与する D. 心臓マッサージを開始する |
|---|---|
| 回答 | B. 高流量酸素投与(必要時NPPV)を開始する |
| 解説 | この患者は、急激な呼吸困難、SpO₂ 84%、両側肺野の湿性ラ音、著明な高血圧を認めていることから、急性心不全による心原性肺水腫が疑われます。 急性心不全の初期対応では、まずABCの順に患者の状態を評価します。 A:Airway 気道 この症例ではSpO₂が84%まで低下しており、生命に関わる低酸素血症を認めています。そのため、最初に優先すべきなのは酸素化と呼吸状態の改善です。 単純な酸素投与だけでは酸素化が改善しない場合や、努力呼吸、頻呼吸、起坐呼吸などがみられる場合には、CPAPやBiPAPなどのNPPVを早期に検討します。 NPPVは、肺に陽圧をかけることで肺胞を広げ、肺胞内にたまった水分の影響を受けにくくし、酸素化を改善します。また、呼吸仕事量を減少させるため、患者の呼吸苦を軽減する効果も期待できます。 さらに、胸腔内圧が上昇することで静脈還流が減少し、心臓へ戻ってくる血液量、つまり前負荷が軽減されます。加えて、左室から血液を送り出す際の負担である後負荷も軽減されるため、心原性肺水腫では呼吸と循環の両方に有効です。 ただし、NPPVを装着すれば安心というわけではありません。 意識障害が強い、嘔吐している、気道を自力で守れない、痰を排出できない、著しい血圧低下がある、呼吸停止が迫っている場合にはNPPVが適さないことがあります。その場合は、気管挿管による侵襲的人工呼吸管理を検討します。 また、陽圧換気によって静脈還流が減少すると血圧が低下することがあるため、NPPV開始後は血圧、心拍数、呼吸数、SpO₂、意識状態を継続して観察する必要があります。 【この患者で次に考える治療】 この患者は血圧が190/110mmHgと著明に高く、血管収縮による後負荷増大が肺水腫の主な原因となっている可能性があります。 そのため、酸素化を確保しながら、硝酸薬などの血管拡張薬を使用し、前負荷と後負荷を速やかに軽減することが重要です。 下腿浮腫など体液貯留の所見もあるため、ループ利尿薬の使用も検討されます。ただし、急性肺水腫では「肺に水があるから、まず大量の利尿薬」と単純に考えるのではなく、血圧、体液量、腎機能、尿量、末梢循環などを評価したうえで治療を選択します。 特に高血圧を伴って急激に発症した肺水腫では、体液量そのものの増加よりも、血管収縮によって血液が末梢から肺循環へ急速に移動している場合があります。このような場合は、利尿薬だけでなく、血管拡張薬による後負荷の軽減が重要になります。 【看護師が観察するポイント】 ・意識レベル NPPV開始後も呼吸数が減少しない、SpO₂が改善しない、意識状態が悪化する、血液ガスでアシドーシスが進行する場合は、治療が十分に奏効していない可能性があります。 【ほかの選択肢が不適切な理由】 A.大量輸液を開始する この患者には湿性ラ音や下腿浮腫があり、肺うっ血と体液貯留が疑われます。大量輸液を行うと心臓への前負荷がさらに増え、肺水腫を悪化させる危険があります。 ただし、すべての急性心不全患者に輸液が禁忌というわけではありません。右室梗塞や脱水、過度な利尿などにより前負荷が不足している患者では、慎重な輸液が必要になることがあります。 C.β遮断薬を追加投与する β遮断薬は慢性心不全の予後改善に重要な薬剤ですが、重度の肺水腫や循環不全がある急性期に新たに開始・増量すると、心拍数や心収縮力を低下させ、状態を悪化させる可能性があります。 すでにβ遮断薬を内服している患者については、血圧低下、ショック、著しい徐脈などがなければ継続が検討されますが、患者の状態に応じた判断が必要です。 D.心臓マッサージを開始する 心臓マッサージは、心停止しており、反応がなく、正常な呼吸がなく、脈拍を触知できない場合に行います。この患者は頻脈と高血圧を認めており、心停止ではないため適応ではありません。 【まとめ】 この症例で最も優先すべきことは、重度の低酸素血症に対して酸素化と換気を改善することです。 急性心不全の治療では、単に利尿薬を投与するのではなく、 「呼吸状態は保たれているか」 を評価し、患者の病態に応じてNPPV、血管拡張薬、利尿薬、強心薬などを選択することが重要です。 この患者では、 ①酸素投与とNPPVによる酸素化の改善 が重要になります。 |
| 概要 | 70歳男性。急な呼吸困難で救急搬送されました。 SpO₂:84%(室内気) 血圧:190/110 mmHg 心拍数:110回/分 両側肺に湿性ラ音を聴取 下腿浮腫あり この患者への最初の対応として最も適切なのはどれでしょうか? A. 大量輸液を開始する B. 高流量酸素投与(必要時NPPV)を開始する C. β遮断薬を追加投与する D. 心臓マッサージを開始する |
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| 回答 | B. 高流量酸素投与(必要時NPPV)を開始する |
| 解説 | この患者は、急激な呼吸困難、SpO₂ 84%、両側肺野の湿性ラ音、著明な高血圧を認めていることから、急性心不全による心原性肺水腫が疑われます。 急性心不全の初期対応では、まずABCの順に患者の状態を評価します。 A:Airway 気道 この症例ではSpO₂が84%まで低下しており、生命に関わる低酸素血症を認めています。そのため、最初に優先すべきなのは酸素化と呼吸状態の改善です。 単純な酸素投与だけでは酸素化が改善しない場合や、努力呼吸、頻呼吸、起坐呼吸などがみられる場合には、CPAPやBiPAPなどのNPPVを早期に検討します。 NPPVは、肺に陽圧をかけることで肺胞を広げ、肺胞内にたまった水分の影響を受けにくくし、酸素化を改善します。また、呼吸仕事量を減少させるため、患者の呼吸苦を軽減する効果も期待できます。 さらに、胸腔内圧が上昇することで静脈還流が減少し、心臓へ戻ってくる血液量、つまり前負荷が軽減されます。加えて、左室から血液を送り出す際の負担である後負荷も軽減されるため、心原性肺水腫では呼吸と循環の両方に有効です。 ただし、NPPVを装着すれば安心というわけではありません。 意識障害が強い、嘔吐している、気道を自力で守れない、痰を排出できない、著しい血圧低下がある、呼吸停止が迫っている場合にはNPPVが適さないことがあります。その場合は、気管挿管による侵襲的人工呼吸管理を検討します。 また、陽圧換気によって静脈還流が減少すると血圧が低下することがあるため、NPPV開始後は血圧、心拍数、呼吸数、SpO₂、意識状態を継続して観察する必要があります。 【この患者で次に考える治療】 この患者は血圧が190/110mmHgと著明に高く、血管収縮による後負荷増大が肺水腫の主な原因となっている可能性があります。 そのため、酸素化を確保しながら、硝酸薬などの血管拡張薬を使用し、前負荷と後負荷を速やかに軽減することが重要です。 下腿浮腫など体液貯留の所見もあるため、ループ利尿薬の使用も検討されます。ただし、急性肺水腫では「肺に水があるから、まず大量の利尿薬」と単純に考えるのではなく、血圧、体液量、腎機能、尿量、末梢循環などを評価したうえで治療を選択します。 特に高血圧を伴って急激に発症した肺水腫では、体液量そのものの増加よりも、血管収縮によって血液が末梢から肺循環へ急速に移動している場合があります。このような場合は、利尿薬だけでなく、血管拡張薬による後負荷の軽減が重要になります。 【看護師が観察するポイント】 ・意識レベル NPPV開始後も呼吸数が減少しない、SpO₂が改善しない、意識状態が悪化する、血液ガスでアシドーシスが進行する場合は、治療が十分に奏効していない可能性があります。 【ほかの選択肢が不適切な理由】 A.大量輸液を開始する この患者には湿性ラ音や下腿浮腫があり、肺うっ血と体液貯留が疑われます。大量輸液を行うと心臓への前負荷がさらに増え、肺水腫を悪化させる危険があります。 ただし、すべての急性心不全患者に輸液が禁忌というわけではありません。右室梗塞や脱水、過度な利尿などにより前負荷が不足している患者では、慎重な輸液が必要になることがあります。 C.β遮断薬を追加投与する β遮断薬は慢性心不全の予後改善に重要な薬剤ですが、重度の肺水腫や循環不全がある急性期に新たに開始・増量すると、心拍数や心収縮力を低下させ、状態を悪化させる可能性があります。 すでにβ遮断薬を内服している患者については、血圧低下、ショック、著しい徐脈などがなければ継続が検討されますが、患者の状態に応じた判断が必要です。 D.心臓マッサージを開始する 心臓マッサージは、心停止しており、反応がなく、正常な呼吸がなく、脈拍を触知できない場合に行います。この患者は頻脈と高血圧を認めており、心停止ではないため適応ではありません。 【まとめ】 この症例で最も優先すべきことは、重度の低酸素血症に対して酸素化と換気を改善することです。 急性心不全の治療では、単に利尿薬を投与するのではなく、 「呼吸状態は保たれているか」 を評価し、患者の病態に応じてNPPV、血管拡張薬、利尿薬、強心薬などを選択することが重要です。 この患者では、 ①酸素投与とNPPVによる酸素化の改善 が重要になります。 |